201号室の、オオカミくん☆



「どうしたの?」


絵の具がいっぱい付いた、夜の空みたいな真っ黒なエプロンを脱ぎながら、猫みたいな奴が不思議そうに首を傾げる。


「さっき渡り廊下を叫びながら全力疾走してたね。あのまま此処まで駆け抜けたの?」


元気だねってクスクス笑う。

それだけでホッとした。


この、日常から切り取られたような、空の下。


此処だけが私の平常心を保たせてくれる。




「皇汰が……キスしてたんだ」


「うん」



「私……」


ぽろぽろと涙が溢れてきた。




「私、自分が思ってるより、皇汰が好きなのかも」



声に出したら、それは現実になり空に響いた。

薄暗い夜に染まりつつある空に、溶け込んで浸透していく。



「だよね」

猫は静かに口元だけ笑った。