皇汰の背中で岸六田先生が隠れる。
ほんの一瞬。瞬きしてたら避けられないぐらいの手際の良さ。
「――っ」
キス、してた。
皇汰から、先生にキス。
シャラン……
風が吹く。屋上から、風が。
「うわぁぁぁぁぁ」
階段を駆け降りて、渡り廊下を走り抜ける。
シャラン……
また三階まで駆け上がり、美術室のドアを開けた。
「馬鹿ー!! 出てこいよ!」
カツカツと階段を上りながら、私は怒鳴る。
大声を出さなきゃ、泣きそうだったから。
「いるんだろ! 猫! 出てこいよ!」
鈴の音がピタリと止む。
「桐原さん」
上り終わる頃には、アーモンドアイが覗き混み手を差し出してくれていた。



