図書室は、家庭科室と同じ特別棟二階。
家庭科室と同じ通路を渡り、二階に上がる。
ドタドタ音を立てていた足音を止めて耳を澄ませる。
――話し声がする。
クスクスと艶めいた声が。
「皇汰の――意地悪」
親しげな、笑い声。
男子たちは冷たくあしらうくせに、皇汰には明らかに好意的な雰囲気だ。
「千景の方が意地悪だ。あんな奴にキスした写メなんか送ってきて」
「彼は私にとって大切な人なのよ。君なら分かるよね?」
そーっと階段の影から目を凝らしてみる。
壁にもたれて腕組みして皇汰を見上げる千景先生。
その横に壁に手をついて、千景先生を覗き込むような皇汰。
なんかちょっと雰囲気が妖しい。
漂ってる空気がひんやり甘い。
「俺、子どもだから分からない」
「何言ってんのよ」
「――あいつなんか止めて俺にして?」



