抱きつくと、頭にキスされて葵は機嫌よく笑った。 「初めてだよ。こんなに全力疾走したのは」 「あんなに逃げること、ないじゃん」 「結愛と居ると、毎日退屈しなくてすむよね」 「もう。馬鹿――んっ」 抱き抱えられ、引き寄せるように甘い口づけが降ってくる。 吸い込まれるような、アーモンドアイが閉じられても。 私はいつまでもドキドキしていた。