「つまり学科が離れるだけ?」

「うん。あ、修学旅行は同じが良いとはお願いしたよー」


へなへなと力が抜ける。


ボロボロ泣いて……馬鹿みたい私。


「結愛……?ってイタっ 肩を噛まないでよ!」

がじがじと噛むと、葵は抵抗して暴れだすが振り落とそうとはしない。


どこまでも良い奴だ。


「もう。噛むんじゃなくてさ」

振り落とそうとはしなかったけど、意図も簡単に土手に押し倒されてしまった。




「……キスしようよ、結愛」


切なく滲む、葵の甘い吐息のような声。

その声は私の体を痺れさせるのには十分な毒があった。



「葵……」


「絵よりも可愛い結愛を、目蓋の裏に記憶させて」


無造作に伸びた髪が私の顔に降りかかる。