「これ、林田先生に渡しておいて」


「ちょっと待って。話が」


「俺、用事思い出したから!」

私にクッキーを渡すと、葵は走り出した。

私は門の前に転げたままの自転車を起き上がらせると、クッキーを皇汰に投げた。


「皇汰、ごめん! 私、葵を追いかける!」

皇汰は私のクッキーを受けとると、優しく笑った。