201号室の、オオカミくん☆

「皇汰」

「帰ろうか」

「……全部聞いてた?」


皇汰はちょっとだけ頷くと、直に背中を向けて階段へと歩いていた。


「皇汰の私への気持ちは?」

渡り廊下に差しかかった時にそう聞いてみた。

葵に見られるかもしれないのは、悪いなって思ったから歩きながら。



「私は見返りは欲しいし、無償じゃないから」

煮え切らない皇汰に尽くすほど、出来た人間ではないから。
それでもはっきり皇汰が私に言ってくれないのなら、今すぐスリッパを脱いで殴ってやろうと思っている。



「えっと、じゃあ、お友達からで」

「既にお友達だろうが!」

ベタなボケに突っ込みつつ、靴箱で履き換えながら溜息が零れた。

まぁ歯の浮くような台詞が聞きたい訳ではないけど。
こうさ、私も安心したいわけで。

まだ岸六田先生に未練たらたらの皇汰の傍にいても、辛いだけ。



「うん。好きだよ。なんか救われるような明るさが」

馬鹿にはしていないらしい。

けど、困ったように自転車乗り場に行くと、鍵を開けて私に後ろを乗るようにポンポン叩いてくる。