「返事は、イエスしか要らないから。違うなら聞かないよ」
「ごめん」
「謝るのも違うから」
葵はこっちを見なかった。
私もそれ以上は何も言えなくて。
ただ黙って、屋上から降りた。
涙が零れるのは、きっとまだ骨折した親指が痛いから。
無理して一人で登ったから。
そうだと思いたくて、泣きながら降りた。
鈴の音。
吸い込まれるような猫みたいな瞳。
純粋で、子供っぽい笑顔。
凛々しく艶がある舞。
そして、ちょっとだけ寂しい雰囲気の絵画。
前しか見てないで、全力疾走している私には、価値観やら世界観やら壊されて。
葵と居ると、視野が広がったように思えていた。
だから寂しい。
涙が止まらなかった。
自分勝手な、可愛くない涙。
降り終わった後に、ちらりと横目で、屋上に続くベランダを見た。
「――よう」



