爆笑する皇汰を横目にさささっと降りると、資料を渡す。


『いつまで笑ってるのさ!』


『ぷ。ごめんごめん』

悪いとは思ってないその口ぶりで、笑いすぎて滲んできた涙を指で払いながら言う。



『てか、呼んで? 俺代わりに取るし』


『これぐらい、自分で取れるから大丈夫』


ふんっと腕を組みながら見上げる。



『人に頼ってばっかのなよなよした女にはなりたくないの。このぐらい自分でとれないでどーするんだよ』

どーせ『誰か取ってー☆』なんて言ったら、にこにこ笑いながら取ってはくれるけど、完璧に子ども扱いされるじゃん。


同い年なのに!


たかが身長のせいで!

にらみ上げた楠木皇汰は、目を真ん丸にした後に、またふんわりと甘く笑う。


『桐原さん、かっこいいー』


『当たり前じゃん。ちびを舐めんなよ』


『そうやって誰にも媚びない人って俺好きだわ』


爽やかに笑った後、ちょっとだけ目を伏せてそう言った。