皆と記念写真して、岸六田先生は職員室へ戻っていった。

皇汰の姿は無かった。


でも皇汰はきっと、秘密の通路を知ってしまったから彼処にいるだろう。


そう思って、向かったのに。


――居たのは葵だった。


「あ」

サクッと音がして見てみると、奴は一人でクッキーを食べていた。

一人10枚ぐらいしかないクッキーは私は既に完食してたのに葵は大事そうに大事に食べている。



「皇汰知らない?」

「皇汰は来てないよー」


あの夜に浮かぶ海みたいな油絵じゃなくて、白いキャンパスを前に胡座を書いてクッキーを食べながらにらめっこしている。

「ふぅん。あんたは先生からのメッセージは何だった?」

ちょっとだけ距離を置いて座ると、メッセージカードを見せてくれた。

「ん」