201号室の、オオカミくん☆



切なげに首をかしげられると、苦しい。


全力で首を振りたくなる。

でも。私は……。


「俺、あったかい雰囲気の花忘荘が好きだよ。息苦しくないから好き。
こんな気持ち、知らなかったんだ。
教えてくれたのは、いつも一生懸命に渡り廊下を走る君だよ。結愛」


壁から降りてきた葵は、土足で縁側に上がる。



「まだまだ教えてよ。結愛。隣で」


懇願されるように言われると胸が甘く痛んだ。


「葵……」

「説得は皇汰たちに任せて、結愛は俺と此処から出よう」


私の腕を捕み、走りだそうとする葵に、ゆっくり腕を払い除ける。


「結愛?」

「お婆ちゃんは私が説得するよ」


私が今度は葵の腕を掴み、玄関へと引きずる。


「岸六田先生も」

そう声をかけると、目を丸くしながらも頷いてくれた。