201号室の、オオカミくん☆


「たまたま先陣切ってお礼してたのが、孔礼寺だっただけ。夏に水が枯れなくなってから、孔礼寺にお礼に来る人が増えて、遠い人たちに足を運んでもらうのに申し訳ないからと、孔礼寺の分家となる寺をあちこちに作った」


孔礼寺の歴史を聞きながら、私も葵の母親を探す。

できたら、脱ぎたいんだけど。


服とか貴重品はリヒトさんたちに任せたからどこか分からないし。



「だから本来は俺たちに上も下もない。俺たちは同じ立場だと思ってる。俺の父も最初はそう思ってた。俺たちが分家を遠ざけたのは、――母親が原因だから」


煙草に火を付けながら、岳理さんは苦笑する。


「なかなか子どもを授からなかったうちの母親を、分家の奴等が非難してさ。葉瀬川さんが跡取りだと噂されてからは、あの石の階段を突き落とされそうになったらしい」


煙草の煙が夜空に消えていく。

私と葵は、知らなかった事実に言葉を失った。