私が身体を揺らして笑うと、耳元に飾られていた葵の花がポトリと落ちた。
それを拾おうとして手を伸ばすと、皇汰にその手を捉えられた。
「……皇汰?」
気づけばざわざわと人が集まりだしている。
私と皇汰の横にもお年寄りがぎゅうぎゅうに座り出す。
「……なんか今日可愛い」
「は?」
「――キス、できるかも」
狐のお面で隠しながら、皇汰の顔が近づいてくる。
少し顔を傾げて、鼻がぶつからないようにする仕草。
慣れてる、と寂しくなった瞬間、
岸六田先生にこんな風にキスしたんだろうなって思って我に返った。
ぶちゅっと音を鳴らして止めた。
皇汰の顔にイカ焼きが貼り付く。
「忘れるために私にキスすんの?」



