「葵の花があったから」
「あ……」
『本家の温室に、紫の葵が咲いてる。そこからつ けられた名前。けっこう気に入ってるよ』
以前、葵が教えてくれた。
そうだ。此処が本家で、彼処にガラス張りの小さな温室がある。――あそこが葵の言っていた温室なんだ。
これが葵の名前になった、紫の葵。
「皇汰くん、その花の色さぁ、今日の結愛ちゃんの浴衣に全く似合わないんだけど!」
「こっちのプロのコーデを壊さないで?」
二人がプンプンと本気とも冗談ともとれる怒り方で詰め寄る。
「いい。私、この花着けたいから」
そう私が言うと、二人は皇汰に詰め寄るのを止めた。
「「まぁ結愛ちゃんなら何しても似合うからいいよね」」
びっくりするぐらいピッタリ重なった言葉に苦笑いしかできなかった。



