孔礼寺ではなく、裏にある自宅の方へ連れて行かれた。
中も人がバタバタと走り回っている。
鯉が泳ぐ池や手入れされた庭を走り抜け、温室前の縁側で靴を脱いで中に入る。
「葵は?」
「お清め中だよ。神楽殿に上がって舞うには清めの御払いをするんだって。ドラガンさんとしてる」
「ドラガンさんは御払いに興味があって着いていっただけだけど」
トールさんが三段ボックスの化粧箱の蓋を開けると、色んな種類の簪やきらびやかな扇子や小物、そして化粧道具が入っている。
「結愛ちゃんのお祖母さまから、孔礼寺に浴衣が二着届いてね、千景ちゃんと結愛ちゃん宛だったよ」
「岸六田先生にも?」
「部屋を借りてるからだと思う。紫の大人っぽい浴衣だったなー。控えめな小花の」



