201号室の、オオカミくん☆



「1ヶ月前に痴漢にあいかけたの、俺の姉なんだわ」

とぼとぼと自転車を押しながら歩くと、皇汰がそう言った。


「若社長が助けたから触られてもないらしいんだけどさ」

深いため息を吐く皇汰は、どっちが兄だか姉だか分からない。


「皇汰に似てたらお姉さんも綺麗そうだしねぇ」

大変だったね、と呟くと眉間のシワが深くなった。



「姉ちゃんはあの歳になってもふわーっていうかは呑気というか。結愛の真逆。本当に心配しかできねー」

「うわ。シスコーン」

意外や意外。

皇汰がちょっと熱くお姉さんの事を話してる。

私と真逆とか失礼な事言ってるけど。

いいなー。お姉さんの前ではこんなちょっと無邪気な皇汰なのかな。


「だから同じアパートの皆も心配してさ。最近じゃ一人で夜道を歩く女の人が居ないか見回りまでしてるよ」

「それって逆に不審者じゃない?」


「皆、顔だけは良いから」


顔だけは……。
まだ会った事ないけど、ますます気になるな。


「そういや、私もアパートの人たちに挨拶したいんだけど」