「皇汰、連れ去られちゃった……」

たこ焼きパンの買う時間になっても皇汰が現れず、仕方なく骨折した親指のまま、パンの買う波に突撃しようとした時だった。


「よし。その話はたこ焼きパンの後だね」

「え?」


「二人で突撃っ」

話もそこそこに家庭科室へ乗り込んだ。

家庭科室はまだそこまで人が溢れてはいなかったので、シュルシュルと隙間を狙い、たこ焼きパンを無事にゲットした。


一応皇汰の分に違うパンも何個かゲットする。


「結愛、俺これしか取れなかった―」

しょぼんとした葵がパンを1つひらひらさせる。


「それ! たこ焼きパンの次にレアなカレーパンだから!」

持ってる奴は本当に持ってやがる。

難なくもう1つのコロッケパンもゲットした。




「でね、学校に着いたら皇汰が連れ去られちゃったんだよー」