私にはキスじゃなくて、抱き締めて貰いたいだけ。
言葉はいらなくて、体温だけで包み込んで欲しいだけ。
それは、少し嬉しくて酷く悲しい。
「可愛いな。皇汰は」
「お前な」
「キスで黙らせないの?」
不安で揺れる皇汰を滅茶苦茶に甘やかしたいし、滅茶苦茶に罵倒したくなる。
なんでこんな風に思うのか。
葵の鈴の音を聴きながら、私は思いきり皇汰を見上げる。
「皇汰はそもそも私を『好き』?」
その答えによって、私の今後は左右されてしまう。
「岸六田先生みたいに私にキスするつもりある?」
そう尋ねると皇汰は難しい顔をした。



