未だに皇汰の帰りを待ち伏せする皇汰の父親は、やはりお姉さんには一度も会いに行かないらしいし、
葵の親は行きすぎた……ちょっと歪んだ崇拝的な愛だと思う。
「だから私は大丈夫だよ。トールさん」
「――大丈夫な子はそんな無理した笑顔は浮かべないんだよ」
労るような、悲しげなトールさんに吸い込まれそうになる。
この人は、全ての女の子の悩みや痛みも分かろうと努力してしまうのかな。
「ありがとう! 本当に大丈夫! ただけじめはちゃんとつけれるように頑張るよ!」
片想いなら、別に同じ屋根の下ででしかできない訳じゃない。
「結愛、結愛も踏んでー!」
葵の声に振り返ると、ビニールに入れた丸くなった小麦粉を、葵が足で踏んでいた。



