「孔礼寺のお祭りまでは居させて下さい。 見たい……見届けたい事があるから」 これだけは真っ直ぐに見つめて言える。 皇汰と岸六田先生の恋の行方と。 葵の舞。 これだけは見たい。 ちゃんとそばで見たい。 確かに学校に行けば会えるんだけど。 私は、ただ自分の気持ちは何一つ誰にも伝えてないから。 だから。 「分かりました」 お婆ちゃんは静かに頷く。 だから私も覚悟を決めたんだ。