「本気モードだったね。皇汰」
岸六田先生にそう言うと、「そうだね」と静かに言った。
「岸六田先生が突き飛ばされたのをどこで見てたんだろう」
談話室は締め切っていたのに、あいつは好きな人の事ならエスパーにでもなるのか。
先生の事ぐらいだよね。皇汰があんなに怒るとしたら。
「違うよ」
ふふと先生は笑う。
「皇汰は貴方の一生懸命作ったオニギリの事で怒ってるのよ」
「え?」
だって不味いって言って……。
「桐原さんの頑張りは、皇汰にちゃんと届いているんだよ」
「……あはは。頑張りというかなんというか」
まぁオニギリを上手く握れない事がまず問題なんだけどね。
「だけど誰だって好きな人の為なら頑張れるんだよ」



