「ちょっと待った! 歪だし形にはなったけどポロポロこぼれるからラップしてるんだ! そんな期待した目で見るのは止めて」
「んーん。結愛のなら全部好き! いただきまーすっ」
紙袋から1つ取り出して、ラップを外そうとした時だった。
バンッとオニギリを手で払い退けられると、オニギリは壁にべチャリと当たり、ズルズルと落ちていった。
やっぱり壊れやすいかな、とか冷静な判断ができていない自分が嫌になる。
「そんな汚いもの、葵さんに食べさせないでっ」
「それも寄越しなさいっ」
葵の手にあった紙袋も取り上げようとして、岸六田先生が間に割って入る。
「桐原さんの大事なオニギリですよ!」
「うるさい!」
おじさんに突き飛ばされた先生の腕を慌てて捕まえたら、私の腹やら頭やらが怒りで沸騰するような熱を帯びた。



