あのリムジンは……葉瀬川さんが乗ってきたんだろうって思ってたけど。
……嫌な予感は当たるよね。
「困ります。お待ちくださいっ」
「待てないわ! 林田先生を出して下さい!」
「お前も来んか!」
「止めろってば!」
職員室の前の廊下がざわざわと騒ぎ始める。
岸六田先生と一緒に向かうと、着物をきた男女と葵、そして事務の先生が言い争っていた。
神経質そうな雪のように色の白い綺麗なおばさんと、
丸眼鏡できょろきょろおどおどしたちっさいおじさん、
そして嫌がって暴れる葵の姿だった。
「葵!」
「結愛っ」
私が名前を呼ぶと、葵はおじさんを突き飛ばしてそばに駆け寄る。
「どうしたの?」
「葉瀬川さんから林田先生の出張がバレたみたいで」
……あ。



