それでも。 世渡り上手で負けなしで、へまなんてしないはずの皇汰が、笑うから。 冗談めいて笑うのは、断られた時や拒否された時の傷つかずに済む保険みたいに見えたから。 中途半端なオオカミの頭を撫でてやった。 放っておけなくなるような、寂しそうな目をする皇汰を。 「また一緒に生徒会入ろうね」 私がそう笑うと、皇汰は泣きそうな笑顔で頷いた。 失恋した皇汰も、未だに傷心中の皇汰を好きな私も、恋の迷子中だ。