学校に帰る車の中、岸六田先生は私をミラー越しに心配げに見ていた。
「花忘荘のバカたちに伝えておくから、不便が無いようにね」
「不便はないけど……あっ」
不便というか、殴れないか。
殴る前に登れないじゃん、屋上に。
秘密基地に暫く行けない。
一人で百面相していると岸六田先生がクスクスと笑う。
「結愛ちゃんって一緒に居ると楽しそうね」
「そうですか?」
「皇汰も全然私といる時より肩の力が抜けてて楽しそう。……あんなに怒ってる姿私には見せないもの」
……それは岸六田先生が好きだから格好つけてるだけだし、それに先生への対応の方が何倍も優しいよ。
「私は岸六田先生が羨ましいですよ」



