皇汰は冗談ではなく本気で言っている。
今日は暑いよね、みたいに自然な流れで。
「なのに、冴えなくて私服のだっさい男に負けて、失恋したんだよね。誰にも負けた事がないのに、全部勝ってるのに負けたんだよね。くっそ。まじむかつく」
『負ける』が屈辱だったらしく何回も連呼した後ニヤリと笑う。
「でも案の定、ちょっと髪染めただけで帰国してくるんだから、チョロいよな」
まさか。
「振り向いて貰おうと、ちょっと悪さしたの?」
「見た目だけだよ。成績はそのままだろ?」
フフンと皇汰は得意気に笑った後、ちょっとだけ寂しげに微笑む。
胸が痛む。
そうか……。好きな人が居たのか。
皇汰は失恋したんだ。
失恋からの若さ故の暴走だったのか。
「何だよ。皇汰の馬鹿! 馬鹿皇汰っ」
私の心配を返せ!



