「やっぱ、桐原さん好きだなー」

や!?

やっぱって私は今初めて聞いたよ。

どう返すべきなのか分からずに、その瞳に吸い込まれるように見つめ合っていた。


するりと、葵の顔が近づいてきて、きらきら光る目が私を映し出す。


綺麗な薄茶色の、猫みたいな瞳。

いつも屋上に居るのに透き通るような肌。


格好いいけど、ちょっと中性的な色気が漂う。


って。


「顔が近い!」


慌てて顎を押しやり、後ろへ下がったけど。

びっくりした。金縛りに会ったかと思った。


「残念。もう少しだったのに」

「……話をそらすな」

さっきリンダに言われた台詞まんまを葵に言いながら、またオニギリにかぶりついた。



「舞をしたくないならしなくて良いんだって言ってたよ。どうするの?」