「失礼しまーす」
ノックしつつドアを開けるというノックの意味がない声に、空から視線をドアへ移した。
「先生が書けたら授業に戻りなさいってよ」
楽しそうに進路指導室に入ってきたのは岸六田先生だった。
「書けないから戻れない」
「俺、これで恐竜作ってるから完成まで無理」
「げ。一文字も書けてないじゃない」
岸六田先生の登場に、皇汰の反応は薄い。
私もやる気が起きなくてボーッと作文用紙を見ていた。
岸六田先生だけがハイテンションだった。
「桐原さん。うちの祖母が桐原さんのお祖母さまに何時もお世話になってます」
「此方こそ―。良く知らないけど」
私の適当な答えに、岸六田先生は意外な反応を返してきた。
「ああん。小さくて可愛い。食べちゃいたいわ」
……え?



