「んー」

急に葉瀬川さんの目も口調も優しくなった。


「君は葵を守ろうとしていたんだね」


ありがとうと頭まで撫でられてしまった。
さっき飛び蹴りしたチビザルな私に。

穏やかな、慈しむような表情に、私の気持ちも優しくなる。




「あの子はちょっと器用貧乏な子だから、元気かなって顔が見たかっただけなんだ。嫌なのにがんじがらめに押し付けられていたし、ね」

「……ごめんなさい」


「何で謝るんだい? 葵が苦しいなら私は止めても良いって思ってるんだよ。だからできたら話もしたかったけど、――君が居るなら安心だね」

そう言われて何だか変な感じ。

私もまだ何も知らないんだよ。

私も話がしてみたいけど、踏み込めないんだ。