タッタッ これは下駄の音でも革靴でも2つの別々の足音でもない。 大丈夫。ただ帰り道が一緒なだけの他人の足音だ。 他人だ。他人。 何かあれば自転車をぶつけて逃げてやる。 ぺたん……ぺたん…… 足音がゆっくりのんびりになったので、その隙に自転車を押し、キャリーケースを引きながら花忘荘へ向かった。 足音はそれ以上近づいては来なかった。