もくもくの原因を葵は聞かなかった。 私もそれに今は黙って甘える。 ――居心地が良いんだ。 シャラン…… 屋上の隅に転がしてた鈴が風で揺れた。 時間は止まって感じるのに、風だけは吹く。 お日様の匂いと空の雲を眺めて。 私もゆっくり目を閉じた。 踊り場にあった、布を被った大きな絵と、中途半端に削られた彫刻。 それと葵の白い肌。 この不思議な空気に包まれて私もゆっくりと夢の中へ。