そんな、働き出して一ヶ月以上が過ぎた頃だった。 「どう、慣れた?」 扉を開けて入って来たのは 「……店長!?」 店長がここに来るのは珍しい。初物食いとか他のホストの子が言っていたけど、最初以外は来ないよ?って……聞いていたのに。 朝礼では見るけれど、二人きりになるのは本当に久しぶり。 相変わらず、細身のメガネが良く似合っている。その奥に包みこむような揺れる瞳。 こんな人がお兄ちゃんだったら、なんて思いたくなるような店長もお客さんの前では全然違うのかな? 想像……出来ないかも。