オーナーが手渡した着替え……というのは、昨日の店で用意させたらしい通勤用の例によって男らしい服。
それ以外に……。
奥から出てきた、剥き出しの四角い紙。
それを、裏返した瞬間に
私の瞳からは……涙が溢れていた。
それは……借金のカタにと取られた家から誰かが持ち出してくれたんであろう、にっこりと微笑む両親の写真。
「お父さん……お母さん……」
何故だろう?
会いたくて
大好きで……。
それだけ。
こんな状況に陥とされた事、不思議と恨めしくなんて無かったんだ。
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