「雪乃……すまない」 そこにあったのは、目を背けたくなるぐらいの包帯でぐるぐる巻きにされた……お父さんの姿。 「お母さんはっ??」 その言葉に返事をする事無く……私の顔を見た安心感からか、瞳を閉じる。 それが……お父さんの最後の姿だった。 その日、お父さんとお母さんの乗っていた車は、対向車線から来た車を避けようとして崖から転落。 お母さんは既に手遅れだった、と知ったのはこの少し後で……。 「すまない」 そう謝った本当の理由は……まだ知らなかった。