さっき来た厨房を抜けようとすると、下ごしらえのいい香りが漂う。



「新しい子?」



体格のいい、ヒゲの……少し年配の人。



そういえば……写真を見た時も思ったけど、ここって若い人が多いような。



「あぁ……あの人はここのチーフ。雪乃ちゃんの部屋に行く事はないけど、旨いメシ作ってくれるから挨拶しときな」



「えっと……雪乃です!!宜しくお願いしますっ」



そんな私に、チーフはお父さんみたいな笑顔で



「任せときなっ。そんな細い体じゃもたないからしっかり食べなよ」



もたないって言葉を、何だか妙に生々しく感じてしまう私は……ヤバイかもしれない。