「雪乃は今日からここで働いてもらうから」



「いや、でもだけど……この仕事では」



自分の事とは言え、人前であまり借金の事は話したくない。



そんな雰囲気を察したのか、席を外した美幸さんを確認すると



「俺もよう分からんのやけど……これは凪からの提案なんやわ」



-ズキッ-



懐かしい……愛してしまった人の名前に胸が痛む。



「まぁともかく、今までと同じ。給料は下がるけど生活費以外は返済金として天引き。後は……あ、電話や」



いつものように忙しく走り去る後姿を見つめながら……店長や凪、そんな懐かしい名前を心に噛み締めていた。



そんな私が向かう場所は一つ。