「うーし、今日はこの辺にしとく?」
「うん、そうだね」
日が沈みかけ、あたりが薄暗くなって来た頃。
清瀬くんがそう言うので、私もうなずいた。
「清瀬くん、練習に付き合ってくれて本当にありがとね」
「ううん。言うほど藤田運動音痴じゃねーよ?」
「そんなことないよ!」
「ははっ!そこ謙遜するとこ?」
だって……。
本当に運動は苦手なんだもん。
謙遜なんかじゃないよ。
「ああーっ!二の腕明日筋肉痛になりそうなんだけどぉー!」
「いいじゃん。ブヨブヨのお肉が落ちるよ」
「ん?今なんて言った?」
「な、なんでもないよ。ハハハッ」
軽くにらむと清瀬くんが両手のひらを前にして、笑った。
もう、そうやってすぐ人をおばさん扱いするんだから。