稲瀬君の住むマンションは本当にすぐ近くにあった。
駅から五分程度の真っ白な十階建てマンションの三階。
ピカピカな白い壁は、あのぼろアパートとはかけ離れていた。
「俺の部屋はここですよ。寒いですよね、今急いで開けます。」
稲瀬君はポケットから小さな鍵を取り出して、鍵穴に差し込んだ。
カチャリと音をたてて扉が開く。
薄ベージュのフローリングが真っ直ぐとリビングに伸びている。
少し散らかった男の子らしいリビングは、マガジンやマンガがあちこちでタワーを作っている。
「この辺に座ってください。今、飲み物持ってきますね。」
「ありがとう。でもそんなに気使わなくて大丈夫だよ。」
「いえいえ!気の利いた物なんてだせないですけど…。」
稲瀬君はせかせかと私の前にお酒やお菓子を出していく。
雑に並んだパッケージを撫でる。
プラスチックのスベスベとした質感に意味も無く触れていた。
「出勤までどうぞゆっくりしていって下さいね。」
それから私達はしばらく適当に時間を過ごした。
仕事の愚痴やテレビの話など他愛の無い話で盛り上がった。
お酒も回ってなんだかとてもいい気分だ。
すっごく楽しいって訳じゃないけど、不思議と心地のよい時間だった。
ゆるゆると不安が軽減していく。
脳内で揺れていた澪汰の顔も、いつしか淡く滲んでいた。
駅から五分程度の真っ白な十階建てマンションの三階。
ピカピカな白い壁は、あのぼろアパートとはかけ離れていた。
「俺の部屋はここですよ。寒いですよね、今急いで開けます。」
稲瀬君はポケットから小さな鍵を取り出して、鍵穴に差し込んだ。
カチャリと音をたてて扉が開く。
薄ベージュのフローリングが真っ直ぐとリビングに伸びている。
少し散らかった男の子らしいリビングは、マガジンやマンガがあちこちでタワーを作っている。
「この辺に座ってください。今、飲み物持ってきますね。」
「ありがとう。でもそんなに気使わなくて大丈夫だよ。」
「いえいえ!気の利いた物なんてだせないですけど…。」
稲瀬君はせかせかと私の前にお酒やお菓子を出していく。
雑に並んだパッケージを撫でる。
プラスチックのスベスベとした質感に意味も無く触れていた。
「出勤までどうぞゆっくりしていって下さいね。」
それから私達はしばらく適当に時間を過ごした。
仕事の愚痴やテレビの話など他愛の無い話で盛り上がった。
お酒も回ってなんだかとてもいい気分だ。
すっごく楽しいって訳じゃないけど、不思議と心地のよい時間だった。
ゆるゆると不安が軽減していく。
脳内で揺れていた澪汰の顔も、いつしか淡く滲んでいた。


