復讐。【更新中】

 稲瀬君の突然の告白に、私は俯いて口をつぐむ。
優しさと、愛情で溢れたその言葉。温かさでほかほかと冷え切った心がとろかされていく。

 だけど。
脳裏にこびりついて消えない澪汰の泣き顔。ちぐはぐな笑顔。

 ここで『私も好き』だと言えたらどんなに楽なのだろう。
私の狂ってしまった歯車を、戻すことが出来るのだろうか。

 それとも、今更何をしたって遅いのだろうか。

「ありがとう。すごく嬉しいよ。でも、少し待ってほしい。」

「…わかりました。変なこと言ってすいません。お仕事、頑張ってくださいね。」

 少し寂しそうに眉を寄せた稲瀬君は、またフロアーへ戻っていった。
その華奢な後姿をボーっと見つめる。

 いけない、早く私もフロアーに出ないと。
両方の頬をぺちんと軽く叩き、ロッカールームで着替えを済ませた。

 後は朝まで知らない男の上で喘ぎ狂う。
なんの感情も無い機械的なセックスは、もう何も感じない。

 ふと下を見れば、快楽に顔を歪め、必死に腰を振る馬鹿な男。

 私ももっと快楽を味わいたい。
何もかも考えられない頭になりたい。いっそ全て忘れてしまえたら。

 もっと犯して欲しい。もっと現実から引き離して欲しい。
もっと、もっともっともっともっと!!!!

 私は必死だった。
必死に逃げる様に腰を打ち付けた。
頭が真っ白になって、一瞬だけ現実から宙に浮いた気がした。
それは性的な快楽からずっとずっと離れた、なんとも形容し難い最高の快楽。

 私は乱れきった呼吸を整えつつ、ぐったりとベッドに寝そべった。
お客様は満足げにまたカッターシャツを羽織っていく。

 着替え終わったお客様を一瞥して、フロアーの受付までご案内した。