ーーーなんだよ、妙なことって。





自分の考えに、ちょっと引いてしまう。




別にじいさんは、普通に春川と喋ってただけじゃないか。





俺は何を、変な気を回してるんだ?




妄想かよ………。





ちょっとげんなりしていると、春川の黒目がちな瞳が、どこか訝しげな色を浮かべて俺は見ているのに気づいた。






さっきの俺の言葉は、ちゃんと今日の授業で既に伝えてあることだったから。




なんで二回も同じことを言うんだろう、と不思議に思っているに違いない。






勝手に早とちりして、妙な気を回して、訳の分からない言動をとってしまっている自分が恥ずかしくなる。





それでも俺は平静な態度を装い、財布から千円札を一枚取り出して春川に手渡した。