「えらいなぁ、春川」





思いのままを口に出すと、春川はふるふると首を振り、「そんなことありません」と否定した。






「大したものは作れませんし………」





「でも、尊敬するよ。俺、本当に何も作れないからなぁ」





「そうなんですか………」





「まぁ、目玉焼きくらいなら何とかなるかもしれんけど」






ちょっとおどけて言ってみせると、春川が、ふふっと小さく笑った。





最近、よく笑顔を見せてくれるようになったな………





そんなことを思っていると、入り口のほうががやがやと騒がしくなった。




どうやら、他クラスの修学旅行委員たちがやってきたらしい。





俺は『教員モード』に切り替えて、






「おいお前らー、時間ないからさっさとしろー。


クラス順に前から座れー」






と声を張り上げた。