風がさらった恋心。




人を信じられない。

裏切られるのが怖い。


また、一人ぼっちになるのが怖い。

礼央がいてくれるから完全に一人になることはないって分かってるんだけど、中学の頃みたいなことがもう一度起きたら、今度こそもう立ち直れない。


だけど、きっと、私は人が嫌いなわけじゃないんだ。

信じたくないと言いながら、言い聞かせながら、そう思い込ませているんだ。


そうやって少しずつ感覚が麻痺してくるのを待ってたんだ。




「……鳴のせいで俺まで怒られたやん」

「俺のせい!?疾風酷くない!?」

「三島!お前良い加減にしろよ!」




ようやく慣れてきて、そんな生活も大丈夫になってきたのに、不安になる。

曇り一つない純粋な気持ちは、きっと悪意なんかよりよっぽど厄介だ。





「な、何で俺だけ怒られるん…」

「そんなんお前がバカやけやろ。ーーね、千葉さん」




突然名前を呼ばれて、心臓がドクンと跳ねた。

こんな風に優しい声で、礼央以外に呼ばれたのはいつ以来だろう?