風がさらった恋心。





「全然、そんな風に、思わんよ」




そんな彼に私はそう言うのが精一杯だった。

どこに目を向けたらいいか分からなくて視線を彷徨わせる。



ねえ、早く、立ち去ってよ。


誰かを傷付けるのも、傷付けられるのも、もう嫌なの。

また一岡くんや、三島くんに昨日みたいな顔をさせる前に、どこかに行って。




「……よし、鳴。英表のプリント見せろっち言いよったやろ?席戻るぞ」

「え、疾風ーー」

「いいけん、早く」




そんな私の気持ちが通じたのか、一岡くんは三島くんの腕を引っ張って、少し強引に席に戻っていく。


……まさか、ね。

でもこれでやっと一人になった。


小さく息を吐いて机にうつ伏せる。


慣れてないせいでたったこれだけのやり取りをするだけで、疲れる。

時々、本当に時々、私って人間に向いてないんじゃないかってバカなことを思う。



ぼんやりと窓の外に目を向ければ、広い青空を切り裂くように羽ばたく鳥を見つけた。

あんな風に生きられたら、って今の生活が息苦しく思えて仕方がなくなるの。