「全然、そんな風に、思わんよ」
そんな彼に私はそう言うのが精一杯だった。
どこに目を向けたらいいか分からなくて視線を彷徨わせる。
ねえ、早く、立ち去ってよ。
誰かを傷付けるのも、傷付けられるのも、もう嫌なの。
また一岡くんや、三島くんに昨日みたいな顔をさせる前に、どこかに行って。
「……よし、鳴。英表のプリント見せろっち言いよったやろ?席戻るぞ」
「え、疾風ーー」
「いいけん、早く」
そんな私の気持ちが通じたのか、一岡くんは三島くんの腕を引っ張って、少し強引に席に戻っていく。
……まさか、ね。
でもこれでやっと一人になった。
小さく息を吐いて机にうつ伏せる。
慣れてないせいでたったこれだけのやり取りをするだけで、疲れる。
時々、本当に時々、私って人間に向いてないんじゃないかってバカなことを思う。
ぼんやりと窓の外に目を向ければ、広い青空を切り裂くように羽ばたく鳥を見つけた。
あんな風に生きられたら、って今の生活が息苦しく思えて仕方がなくなるの。

![[短編]初恋を終わらせる日。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.801/img/book/genre1.png)