『笑うなよ……。ってか、ほんと久しぶりだな』

「だよねえ。元気してた?進学したんだよね?」

『ああ。幸い大きな事故怪我なく、大学4回生やってるよ。そっちは?』

「私も、今のところ元気に保育士やってるよ」



近況を話すと、電話口から「よかった」という穏やかな言葉が返ってきた。

この声に、あの頃何度救われたかな。



「佐伯は大学で何学んでるんだっけ?」

『介護福祉。まぁ、就職先は福祉に全然関係ないとこに決まったんだけど』

「へえ、内定もらえたんだ!おめでとう!どんな会社?」

『銀行……つっても、そんな大きなとこじゃないけどな。卒業までに福祉の方の実習と銀行の研修行かなきゃなんねえから、今から気が重いよ』



そんなこと言いながら、昔からやるときはやってたくせに。

佐伯の話、よく隆太郎から聞いてたよ。



「頑張ってね、佐伯!」

『おう』