「ど……どういうこと?」



縋る思いで問い返すと、瑞穂は再びゆっくりと口を開いた。



「年度初めに提出してもらった個人情報の紙あるじゃない?その父親欄に書かれていた名前が、“隆太郎”じゃなかったのよ」

「え……?」

「確か、“竜也”だった」



これ内緒ね、そう言って人差し指をたてる瑞穂。

どういうこと……?

隆太郎は、智也くんの父親じゃない……?



「で、でも隆太郎の薬指……指輪あった……」



例え智也くんが隆太郎の子供じゃなくても、隆太郎に大切な人がいるのは事実で──