すきの、チカラ


「・・・なんで、遠野?」

「だ、だって・・・っ」

「ただのクラスメートとしか、思ってねーけど。それに」



葉山くんが、一歩、近づく。


目と目を合わせるのが、くすぐったい、距離になる。



「・・・望月がかわいくないとか、ないし」



手を、にぎられる。


右手。そのあと、左手。



向かい合わせで、両手をつないで。



「・・・もしかしてずっと、不安にさせてた?」



間近から、葉山くんの、低い声が降る。



「・・・っ、」

「バスケの話ばっかなのは・・・緊張して、なに話せばいいかわかんなかったんだよ」



葉山くんがわたしに、緊張、なんて。


うまく意味をのみこめないうちに、葉山くんが、次の言葉をつなげる。



「・・・入部したばっかのころ、さ。男女混合で、交流バスケ試合みたいなやつ、したの。覚えてる?」

「・・・うん・・・っ」

「おれが休憩のとき、ちょうど、望月が試合入って。すっげー、一生懸命プレーする子だなーって、思って。なんかずっと、見ちまってて」