すきの、チカラ


・・・ふたりで?わたしと?誘った?


理解がぜんぜん、追いつかなかった。



「な、んで・・・?」



小さな声でたずねたわたしに、葉山くんは、ますます口をとがらせて、答える。



「あー・・・だから。いっつも、帰りの10分くらいしかないだろ。一緒に、いられるの」

「・・・・・・え・・・」

「だから、もっと、ふたりで話す機会、ほしいっつーか・・・」



葉山くんが、めずらしくとがった目をして、わたしを見ている。


でも、怒っているんじゃない。

・・・照れてるんだ。


ほっぺたの色と、仕草で、わかる。



「・・・これ以上、言わせんな」

「・・・っ、」



葉山くんの、かすれた声が、耳に入り込んだとき。


じわっと、ぬくい涙が、こみ上げてきた。


・・・うそ。


うそ。うそ。


うそでしょう?


だって、それ、わたしが思っていたこと。


駅までの10分だけなんて、すごく短いなぁって、もっと一緒にいたいなぁって。