家に向かっている途中

ふと幕府の匂いがした。

嫌でもあの時の記憶が蘇ってくる。

私はできる限り急いで家へと戻った。

「おばさーん。只今もどりましたー。」

私がこういうと

多「はーい。おかえりー!」

こう帰ってくる。

けど今は返ってこない。

代わりに

?「やっと見つけた。」

奥から知らない人間の男がやってきた。

「誰?」

多分この人間は幕府の物だ。

嫌でも匂いで分かる。

?「俺か?俺は松平容保。」

松平...容保?

「貴様かっ!母上と父上と一族を殺したのは!」

松「その通り。江戸の町に化け物の住処はいらぬ。」

そう、私は江戸出身。

「黙れ黙れ黙れ!」

松「お前だけは子供だから生かせてやろうと思ったのに。」

「ガルルルル。」

多分いま、狼と人間の間の姿になっているだろう。