心に悪夢を潜ませ


 「おじゃましまーす」


 突然聞こえた、来訪を伝えたのは蹴破られた音。

 クローゼットの隙間から微かに見えたのは、ダンおじさんとジャン夫婦の家が燃えているところ。

 甲冑を着た戦士が四人、ギラギラした赤黒く光る剣を持って現れた。

 一歩進むたび、甲冑が擦れる音が耳に残る。

 息を呑むエリシアの声が蹴破られた扉の音と同時に聞こえた。

 リリーさんがエリシアの口を塞いでいるのか、誰も喋らなかった。

 声を出すと、死ぬ。

 バクバクとうるさいのは私の心臓か、お医者様の心臓が。