涎が出るほど抱き締めて




「っ、」



ふわっと、体が上がる。


彼の胸板が近い、顔が近い。



「な、何してんですか朽木さんっ!!」




お姫様だっこをされてるとわかるまでに時間がかかった。



「私、重いっ…」

「軽い軽い」


目線が高い、やだすごい怖い。


恐ろしさから、かれのセーターをぎゅっと掴む。



「下ろし、下ろしてっ」




「そこの皆様、聞いてくださいな」




頭上から、よくとおる声が男たちに行った。


話しかけてるの?なんで?


意味のわからない行動に、はてなしか浮かばない。



「晴ちゃんの…こいつの体は俺のものです。

さっきそう契約しました」



『あなたのものです』って、言っちゃったんだよね、確か。

かああと恥ずかしくなり、胸板に顔を埋めた。


…あ、いいにおい。



「なに言ってんだあんた。頭おかしいんじゃね…て、おい!」


揶揄する男の怒声。



朽木さんは、ベランダの窓をがらがらと開けていたのだ。